「深夜の優しさに救われた夜」
ドバイでの暮らしは、夢のような未来都市のイメージと裏腹に、かなりの高確率で“サバイバル”だ。昨日の記事でも触れたように、仮住まいでの予想外のハプニングにより、眠る場所すら定まらない週末を過ごしていた。
そんなとき、私を助けてくれたのは数回しか顔を合わせていないウクライナ出身の友人だった。
ラスカル(仮名)さんは私が仮住まいに関して困っていることをうっすら把握していたようで、「今夜はうちに泊まっていいよ」と静かに声をかけてくれた。驚いたのはその後。泊めてもらうだけかと思っていたら、まさかの至れり尽くせり。
家までの送迎さらには翌日のオフィスまで、夜ご飯、朝にはジョージアのお菓子とホットドリンクまで用意してくれて、気が休まるような言葉を何度もかけ続けてくれた。

そして何より、ふかふかのベッド。私に睡眠を与えてくれるためまさかの家主がソファで寝るといって聞かなかった。前日、匂いのきつい部屋では眠る気になれず結局5時間ほどしか眠れていなかった私は、そのやさしさとマットレスの柔らかさに包まれながら、ようやく心から深く眠れた。

夜通しで話したのは、10年ほどドバイに住むラスカルさんが精通している不動産の知識からドバイ限定の常識、そしてウクライナでの戦争の現実まで。
特に、不動産の知識が非常に豊富で、ドバイでの物件購入・契約時の注意点や投資の基礎まで丁寧に教えてくれた。無料で聴かせていただいたのが申し訳なくなるくらいありがたいアドバイスばかりだった。仮住まい問題に直面していた私には、何よりも実用的で、そして今後の希望につながる内容だった。
しかし、それ以上に心に残ったのは、ラスカルさんの祖国・ウクライナの話だった。
「実は、仲の良かった友人が戦争で亡くなったんだ。」
その言葉を聞いたとき、私は返す言葉を見つけられなかった。日本で暮らしていると、“戦争”という言葉はニュースでしか見ないほど遠い存在に感じられる。でも、彼ら彼女らにとっては“昨日の出来事”と地続きの現実であることを痛感させられた。

現在もウクライナとロシアの間で戦争は続いている。2014年のクリミア危機を起点とし、2022年にはロシアが本格的に侵攻。今もなお多くの人が生活を奪われ、家族と離れ離れになりながら日々を生きている。彼の両親は幸いにもジョージア(旧グルジア)に移住しており、安全な生活を送れているそうだ。
昨晩聞いた言葉が忘れられない。
「日本は、100%僕らの味方というわけじゃないかもしれない。でも、すごく冷静に物事を見ている国だと思う。だからこそ、あなたが今この話をただ“聞いてくれる”だけでいい。」

たしかに、日本はウクライナ支援を行っているが、直接的な軍事介入はしておらず、どちらかといえば人道支援や復興支援に重きを置いている。私自身も特定の立場を声高に叫ぶわけではないし、その資格がない事を理解している。ただ、今目の前にいる友人の声を、自分の耳でしっかり受け止めること。それだけは大切にしたいと思った。
「何もいらないから、安心して希望を持ってドバイでの生活を送ってほしい」
優しさがすぎるその言葉に、胸がぎゅっとなった。
毎日が慌ただしく、どこかで自分を守ることで精一杯になっていた。ラスカルさんの“無条件の優しさ”は、砂漠のなかで見つけたオアシスのようだった。
🌿 人生、誰かの優しさに救われる夜がある。
それを忘れずに、次は私が誰かに手を差し伸べられる人になりたい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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