東京での昼夜逆転生活
半年間の東京生活は、楽しくもあり、そして激しくもあった。移住先としてマレーシアを選んだのは、これといって特別な理由があったわけではない。ただ、タイミングよく採用をいただいて選んだ場所がマレーシアで、そして何よりも人生で初めての職場が前職の会社だったことは、抽選会の1等賞くらい幸運な出来事だった。

小さな漁師町で田んぼを駆け回っていた少女まなが、眠らない街・東京で生きる。それは刺激的で、楽しくて、夜遊びにもそこそこ飽きるくらい全力疾走した。最初の3カ月は楽しかった。でも、そのうちぬぐえない違和感に気がつき始めた。お酒の場から得られる深いとは言えないコネクションと、自分のビジョンとの間に大きなギャップがあることに。さらには、満員電車に乗っている人ひとり幸せそうには見えなかったのを思い出す。
当時、飲みの席に呼ばれれば必ず約束時間に顔を出すくらいの“羽つきフッ軽”だった私も、次第に疎遠になる人が増え、気が乗らない会には行かなくなった。もちろん楽しい時間もあったが、お酒が入ることで豹変する人間模様は、私の想像を超越した深夜ドラマそのものだった。
社交性とは何かを考える
大人になってから自然と、人付き合いのためにお酒を飲むようになった。でも、本当に大切な人と一緒にいるとき、お酒なんて必要なのだろうか??? いくら高いワインを飲んでいいお食事をしても、話の内容が浅ければ心が満たされなかったし、むしろ途中で「帰りたい」とばかり思ってしまう自分がいた。

そんなことを考え始めていた25歳の誕生日の少し前、駅前でオロオロ迷っていた外国人を助けた。助けてくれたお礼にと、そのあと一緒にカフェへ行き、すぐに親しくなった彼は抹茶が水よりも大好きなユダヤ人だった。自分のステータスや知識を誇示することなく、淡々と興味深い話をしてくれた。パーティーしまくる私の傍らで、一緒に時間を過ごせるときは必ずと言って自然が豊かな場所を選び、静かにお酒を飲まずに会話を楽しむ。お金に余裕のある豊かさを見せつけられていた東京で、本当の心の豊かさとは何によって形作られるのか、少しわかった気がした。
誕生日が近づくと、ありがたいことにパーティー仲間から声がかかった。しかし、行く気にはなれなかったので二つ返事でお断りを入れた。お酒を飲まずに深く語り合える時間のほうが、私の心を満たしてくれるととうに気がついてたからだ。

結局、誕生日は抹茶フレンドと奥多摩で過ごした。東京とは思えないほど濃密な自然、携帯の電波も届かない静寂。何の飾り気もない時間こそが、私の人生の中でトップクラスに入るほど平和で静かなひとときだった。
そして四半世紀を迎えた私は決意した。 「本当に行きたい場所にだけ足を運ぶ。そして、行った先でニコニコできないなら、最初から行こうとしないこと。」
隠れていた本当の自分
それまで私はずっと「社交的な人間」だと思っていた。どこへ行ってもすぐに打ち解けられるし、人との出会いが大好き。でも、25歳になって初めて、自分の中にもう一人の「人と距離を置きたい自分」がいることに気がついた。大人数で騒ぐのが苦手なときがほとんどであるし、誰とも会いたくない日だって月の半分以上ある。

マレーシアに移住して、リモートワークが基本になったことで、お酒を飲む機会は東京と比べて激減した。その分、自身のキャリアスコープや人生の長期的な計画について考える時間が増えた。静かな自分スイッチ全開で過ごせる時間をとれたことで、直感をもとに大きな決断ができる力の強化につながった。
マレーシア移住のメリット
① 東南アジア旅行が気軽にできる
クアラルンプールから東南アジア各国へは1~2時間のフライト。マレーシアは東南アジアのハブ空港である。例えば、タイのプーケットへは1時間半で到着。日本から行こうとすると、バンコク経由で乗り換え6時間+トランジット3~4時間+さらに1~2時間のフライトと、時間もお金もかかる。マレーシアにいるだけで、頻繁に海外旅行が楽しめる環境は、旅行大好き芸人の私にとってこの上ない恩恵のひとつであった。

② 生活費が安く、家具付き物件が多い
家賃だけでなく、公共料金も日本に比べて格段に安い。ほとんどの物件が家具付きで、ベッド、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、ソファ、テレビまで完備。初期費用を抑え、身の回りのものだけで新生活をスタートできる。長期旅行、プチ移住を考えている人にも自信を持ってお勧めできる。
③ 広い家に住める & 最高のルームメイト
私が住んでいたのは、日本人や韓国人、西洋人が多く暮らすエリア「モントキアラ」。2ベッドルーム+作業部屋+リビング&キッチン付きの大きめ物件で、家賃はRM3000(約10万円)。2人でシェアすれば5万円ほどで住める。しかも最上階で眺めは最高。
ルームメイトは日本人の同僚で、お互い仕事について話したり、息抜きしながら生活を共有できたことで、仕事も生活も楽しくなった。同じ環境を共有する仲間がいることの安心感は、海外生活で大きな支えとなった。

④ マレーシア人の優しさに守られる
マレーシアでは、数えきれないほどの人に助けられ、物理的にも、精神的にも不足していると感じる日は1日たりともなかった。特に、ドバイ在住のモンゴル人の友人が紹介してくれたマレーシア人には最初から最後まで面倒を見てもらった。家探し、銀行口座の開設、税金や年金の細かい手続きまで、驚くほど手厚くサポートしてくれた。前世で私のご先祖様が徳を積みすぎたのかというくらい優しく大切にしてもらえた期間だった。本当に今でも頭が上がらないくらい感謝している。
彼は、顔がアニメ『SPY×FAMILY』のボンド(アーニャの犬)にそっくりだったので、今後も何かの節で登場するかもしれない。こうしたかけがえのない出会いがあったことで、マレーシア生活はスムーズにスタートし、ドバイ移住の準備まで行うことができた。

こうして私は、東京での喧騒とマレーシアでの穏やかな暮らしを経て、「自分が本当に求める生き方」を理解し始めた。自分の時間を大切にし、心地よい環境で働き、人生を楽しむこと。それが、次なる挑戦のための準備期間だった。そして、さらなる成長と新たな挑戦を求めて、私はドバイへと歩みを進めることになる。
週末はいかがだったでしょうか?最後までお読みいただきありがとうございます🌸
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