雪のオランダ鉄道に翻弄された巻🚃6時間の陸上移動を超えて

By Mana takita

前編では、後ろ髪を引かれる思いで、7日間の年末年始クルーズをあとにした。

お世話になったのは MSC Poesia。
海運と貿易で世界に名を馳せてきたオランダ、その象徴ともいえるロッテルダム港に停泊し、静かに船を降りた。

オランダは、国土の小ささに反して貿易国家としての歴史がとにかく濃い。
水とともに生き、水を制し、港から世界とつながってきた国。その入口に立っていると、街全体が「行き交うこと」を前提に設計されているようにさえ感じられる。

首都アムステルダムへ戻らずにロッテルダム空港から、別の国へそのまま飛んでしまう選択肢だってあった。
けれど、クルーズチェックアウト当日はかなりの雪たきた。

フライトを予約しても、悪天候による遅延や欠航のリスクが高い。それならいっそ、しばらく陸に滞在しよう🐢
そう決めて、アムステルダムに戻ることにした。

去った10月には3週間ほど滞在し、体感的には同期間滞在したシンガポールと同じくらい身近になった都市。
水に囲まれた柔らかい空気が、私はとにかく好きだ。

前回は秋。目的は、シンガポールのDJ弁財天が出演するダンスフェスティバルだった。
今回は打って変わって、人生初の雪のアムステルダムで特に参加するイベントもなし。
しかも滞在エリアは中心街から数駅外れた静かな場所を選んだ。
これはこれで、全く違う時間が流れそうな予感⏰

本来なら、ロッテルダムの最寄り駅からホテル最寄り駅まで、電車で約1時間半。……のはずだったけど

結果から言うと、6時間かかった。

そんなことってあります?(笑)


🚃交通カードひとつで、まず詰む

大晦日のクルーズチェックイン日は、出港時間が迫っていたのでロッテルダム中央駅からUberを使った。
だが今回は朝9時半に下船。ホテルのチェックインは15時。
時間はある。よし、電車で行こう。節約トラベラーに万歳!

せっかくなら、オランダの交通カードを買いたい。
これまで日本以外で持っているのは、ハワイ、ドバイ、トルコ。
勝手に(いらなく?)コレクションにしている。

調べてみると、オランダには OV-chipkaart があり、
最近は OVpay という仕組みで、クレジットカードやApple Payのタッチ決済が主流らしい。

よし、アプリをダウンロード。……が、購入方法がどうしても分からない。

機械とにらめっこすること約20分。
駅員さんもいない。
最後にショップの店員さんに聞いてみると、あっさり言われた。

「クレジットカードでそのまま乗れるよ。料金も同じ。」

そうなのか。
トルコやジョージアのように、交通カードの方が安いと思い込んでいた。

拍子抜けしつつ、Apple Payで改札イン。
外気の寒さで指がかじかみ、少し手間取ってアセアセ。

ちなみに支払いは、新しく手に入れたドバイのクレジットカード。
レートも悪くなく、わずかにポイントも貯まる。
こういう小さな「よかった」が、地味にうれしいのである。


⛄楽勝のはずが、雪で全滅

まず目指すはロッテルダム中央駅。
乗り換えはそこだけ!楽勝じゃん!のはずだった。

が、悪天候で欠便が続出。
目の前でドアが閉まり、次の選択肢も欠便。
プラットフォームに戻っても、また欠便。

完全に詰んだ。

仕方なく、ウインドウショッピングをしながら待つつもりが、なぜかヘアクリップなど雑貨を購入している自分。

やっと次の電車に乗れたものの、直行便は運休。
迂回ルートになるとのアナウンス。

アムステルダムで10月ぶりに訪れる予定だったサロンには、「間に合わなさそう」と連絡。これは長い陸旅になるな、と覚悟を決める。

この電車、ユトレヒト方面かと思いきや、終点は Gouda(ゴーダ)。

……ドラえもんのTAKESHIかよ。

多分、オランダ鉄道でこのジョークが通じるのは私だけ。
ロッテルダム中央駅とは打って変わって、店もなく、ほぼ屋外のような寒々しい駅。

パッキングを少しでも軽くしようと厚着してきてよかった、と心底思った。


🏰ユトレヒトで、また足止め

なんとかユトレヒトに到着。
この時点で乗り換え2回。

ユトレヒトは、オランダの交通の要衝。
古都であり、運河と歴史的建築、そして大きなホールが印象的な街だ。

……だが、ここでも欠便。秋に訪れたデハール城もこのエリア近郊にある。

時間は刻一刻と過ぎる。
トイレに行きたくなり探すと、有料。約180円。

仕方なく支払うも、西洋あるあるの鉄格子改札で荷物が引っかかり進めない。
周囲に心配されながら、結局もう一度支払う羽目に。

「なんで2倍払ってるんだ」と心の中で突っ込みつつ、
有料トイレ使用の日抱えにもらえるKIOSKで使える約80円引きの割引券を2枚ちゃっかりゲット。

トイレ後はKIOSKへ。
小さめのココナッツウォーターが約480円。高い。
まあ割引も効いたし、ドバイのNBD銀行にDUPトランザクションとして申請したら返金された経験ので結果OK。

することもなさ過ぎて、チョコレートやプロテインバーをもさもさ食べながら待機。
「もしや今日、駅で一日終わる?」と不安になる。

念のためBoltを確認すると、約22,000円。
電車ならトータル約3,200円で済むはず。
そんな貴族移動はできるはずもなかった。

幸い、クルーズ用に買った30GBのSIMが数時間残っていたので、Podcastを聞きながら耐える。


🌷やっとアムステルダム、でも終わらない

ようやくアムステルダム中央駅に到着。
疲労困憊。

前回もドイツ行きの電車が欠航したな、と思い出し、
ヨーロッパの鉄道事情に一抹の不安を覚えつつも、
「安全に着いているだけありがたい」と自分をなだめる。

ここからさらに、ホテル最寄り駅へ。

途中、長いエスカレーターに乗るも、まさかの停止。
後ろに引き返せず、メガネをかけた熊さんみたいな男性が助けてくれた。

お礼にジョージアで買ったチョコを渡そうとすると、
「必要ないよ。いい日を過ごしてね。」

……アムステルダム、惚れてまうやろ。

その後も、
故障中のエレベーターをわざわざ教えてくれる人、
迷っていたらエレベーターまで私を案内し、ボタンを押し、ドアが閉まるまで待ってくれるマダム。

優しさの密度が高すぎて疲れはどこかに飛んで行った。


📶通信が切れ、雪道を歩く

そしてここで追い打ち。
1週間分クルーズ用に購入していたSIMの有効期限が切れ、電波がぷつり。

再起動を何度しても復活せず。
日本やドバイのように、どこでもWi-Fiがあるわけではない。

結局、サブ携帯のテザリングで何とか乗り切れて命拾い。
寒さと疲労がまたもや押し寄せ、冬眠しかけた。

とことん駅の敷地を迷った挙句、ようやくローカル線に乗り換え、目的エリアへ直行。駅からホテルまで徒歩10分。

タクシーか、徒歩か。

自分がなかなかのど根性ガエルなのは自覚している。
答えはもちろん決まっていた🐸

約30kgのスーツケースをガラガラ引き、雪道を歩く。
通行人の「このアジア人クレイジーでは?」という視線。
タクシー運転手にも声をかけられるが、「I am okay!」と元気よく返す。

雪は容赦なく、キャリーを引きずる前腕がポパイになるかと思った。
10月から気まぐれに再開した筋トレの成果(うっすら手のひらの豆)が、1日で3か月分以上に完成した気がする。

通りすがった除雪車が歩道優先で雪をかき分けてくれたのには本当に救われた。後で見ると、スーツケースは除雪材だらけ。
「いつも旅のお供ありがとうね」と静かに拭き取った。


🏨そして、お待ちかねのチェックイン

ホテルに着いたのは15時半過ぎ。
チェックイン完了。
……と思ったら、ルームキーが効かず、部屋を目前にしてフロントに戻る始末。

それでも、やっとで肩の力を抜けて深呼吸した。

思いがけず4倍の移動時間を費やしても、不思議なことに、
記憶に残っているのは困ったときに自然に差し出される手や、言葉にならない親切の連続だった。

雪のアムステルダムは、静かで冷たくて、でも人の心はとても温かかった♨

こうして無事に辿り着いた陸上生活。
後編では、雪の中で過ごした「何もしない滞在」がもたらしてくれた時間について書いてみようと思っている。

最後までお読みいただきありがとうございます:)

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